PLCnextによるOPC UAの活用(1):概要と構成例

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OPC UA とは

OPC UA (Unified Architecture) とは IT と OT (Operation Technology, 制御・運用技術) 間の通信のために標準化された産業装置用の通信規格です。高いセキュリティ性とプラットフォームに依存しない柔軟性を備えており、ベンダーや OS の異なる産業用装置間で信頼性の高いデータ交換を行うことができます。

OPC UA サーバ

OPC UA サーバは OPC UA クライアントからの要求に応じて、実行中のアプリケーションからのプロセスデータと変数値を提供します。
PLCnext Control に標準搭載されたエンベデッド OPC UA (eUA)サーバは、PLCnext テクノロジのコンポーネント、プログラム、ファンクションブロック、構造体、変数へのアクセスが可能です。

OPC UA サーバー on PLCnext コントロール

OPC UA クライアント

PLCnext Control は OPC UA クライアントの機能 (オプション) も持っており、接続中のサーバからの変数値の読み出しや、サーバ上の変数値の変更が可能です。

リバースコネクト

現代では OT 側の装置、すなわち OPC UA サーバが稼働している産業装置がインターネットに接続されているケースも珍しくありません。この場合、サーバ側のポートをなるべくブロックしておくことがセキュリティの基本となります。
しかし、OPC UA サーバのポートをブロックしてしまうと、IT 側の装置から、すなわち OPC UA クライアントからサーバへの接続を確立することができなくなってしまいます。

この問題を解決するのが接続の確立方向を逆にするリバースコネクトの機能です。
PLCnext Control の OPC UA サーバは登録済みの OPC UA クライアント (IP アドレスとポート番号) のリストに対して接続の確立を継続的に試みます。接続が確立された後は、クライアントからサーバへ接続を確立した時と同じように使用することができます。
サーバーは試行し続けクライアントは待ち続けるので、クライアントとサーバーの起動順序を気にする必要はありません。

これにより、PLCnext Control 自身の Firewall や PLCnext Control をインターネットへ接続する経路上にあるルータの Firewall を使って OPC UA サーバ側のポートをブロックしても、問題なく接続を確立することができます。

OPC UA PubSub

PLCnext Control は OPC UA PubSub (オプション) にも対応しており、これによりデバイスとアプリケーション間のデータ共有を可能にします。
PLCnext Control デバイス間だけにとどまらず、OPC UA PubSub をサポートする他のメーカーのデバイスとも UDP によるネットワークでデータの交換が可能です。

PubSub 通信について
初期の OPC UA はクライアントとサーバが1対1の関係を構築するクライアントサーバ方式のみであったため、複数のクライアントやサーバに対して一斉に情報を書き換えたり発信したりしたい場合に非常に負荷が大きく、生産現場における制御などリアルタイム性や一斉指示が必要とされる目的には利用が難しい面がありました。
現在の OPC UA は PubSub 通信に対応しており、1対多の通信を自由に行うことができます。

PLCnext Control が対応している UDP (UADP) による PubSub 通信は、マルチキャストにより一つのデータを一回の通信で多数のサブスクライバ (データの受信者) 宛てに送るため、1対1のクライアントサーバ方式と比べると通信先毎の送信データの重複や接続確立手続きの重複がなく、負荷が大幅に軽減されています。

コンパニオン情報モデル

これまでの産業装置はベンダ毎にパラメータやアクセス方法が異なりましたが、OPC UA はそれらを統一的に扱うための枠組みとして、情報モデルを用意しています。

情報モデルは、右の図の「OPC UA MetaModel」以上の 4 つのレイヤーで構成されており、それぞれが xml で記述されたファイルとなっています。

情報モデルの階層構造

1 層目の「メタモデル」と 2 層目の「ビルトインモデル」は OPC Foundation が用意済みの基本部分です。
3層目は「コンパニオン情報モデル」と呼ばる産業装置の仕様を定義する層であり、OPC UA の情報モデルを特徴づける非常に大切な部分です。これは、OPC Foundation と他の標準化団体によって共同で作成されています。
たとえば Euromap77 はプラスチック成形機についての「コンパニオン情報モデル」です。
OPC UA に対応し、かつ EUROMAP77 に対応した MES や HMI などは、相手が Euromap77 対応のプラスチック成形機であればたとえベンダが異なっても共通の方法で装置の制御やパラメータのモニタリングを行うことが可能になります。

最後の 4 層目は「ベンダー独自拡張」と呼ばれる層で、その名の通りベンダー独自の拡張情報を追加するために使用されます。

PLCnext Control は、これらの xml ファイルを特定のディレクトリへ配置することで情報モデルを取り込むことができます。(外部情報モデルの取り込み)

参考までに、いくつかの代表的なコンパニオン情報モデルを以下にリストします。各モデルの詳細は OPC Foundation 等のサイトをご参照ください。

コンパニオン情報モデル解説
EUROMAPプラスチック及びゴム産業用
Industrial Automation産業オートメーション用
PLCopenIEC61131-3 を OPC UA へ変換したもの
OPC UA for AutoID Devicesバーコード、RFID などによるオブジェクト識別用
OPC UA for Robotics産業用ロボット、移動ロボット、制御ユニットなど
OPC UA for Visionマシンビジョン用
OPC UA for Weighing Technologyはかり(重量計測) 用
OPC UA for Machine Tools工作機用
OPC UA for Compressed Air System圧縮空気システム用
コンパニオン情報モデルの例
情報モデル対応機器の例

構成例:PLCnext による OPC UA 用ゲートウエイ

PLCnext Control は安価で多機能な OPC UA 用ゲートウエイになります。

PLCnext による OPC UA ゲートウエイの構成例

この例では、コンパニオン情報モデルを取り込んだ PLCnext Control が OPC UA と Modbus の橋渡しを行うゲートウェイとして機能することで、本来はOPC UA に非対応の射出成形機に対して OPC UA クライアント (SCADA など) からアクセスすることが可能になります。

PLCnext Control で産業装置を直接制御することも可能

上記の例は、OPC UA に非対応な既存の PLC が採用されているシステムを例にとりましたが、これから新しくシステムの設計を行う場合は、PLCnext Control で産業装置を直接制御することももちろん可能です。

PLCnext Control は様々な IO に対応しており、ラダー、FBD、ST 言語の他、C# や C++ 等によるプログラミングが可能うえ OPC UA やその他多くのプロトコルへ対応しているため、最新の通信規格へ容易に対応できるシステムを構築できます。

OPC UA へネイティブに対応したシステムの例

次回は、PLCnext コントローラの OPC UA サーバへアクセスする方法を具体的に紹介します。

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