PLCnextを使って、WEBブラウザでDC電源の状態監視をする場合のプログラム作成例を記載します。QUINTシリーズはステータス出力をWEBブラウザに表示させる場合のプログラム作成例を記載します。PLCnext Engineerの操作方法については、基本的な操作方法についての記事を参照してください。
フエニックス・コンタクトの電源製品QUINTシリーズの製品前面には、ステータスの信号出力端子があります。今回は、この出力を使って、UPSの動作モードと、ステップ電源・DC/DCコンバータの出力電力を表示させます。最近では電力モニタの要望が高まっていますが、QUINTシリーズを使用すれば、出力電力をアナログ出力としてPLCnextに入力できるので、クラウドでデータ収集、遠隔監視がしやすくなり便利です。
使用する製品
- ステップ電源 : QUINT4-PS/1AC/24DC/5 ×1台
- UPS : QUINT4-UPS/24DC/24DC/5/USB ×1台
- DC/DCコンバータ : QUINT4-PS/24DC/24DC/5/PT ×1台
- PLCnextコントローラ : AXC F 2152 ×1台
- IO バックプレーン :AXL F BP SE4 ×1台
- デジタル入力 : AXL SE DI16/1 ×1台
- アナログ入力 : AXL SE AI4 I 4-20 ×1台
- バックプレーンスロットカバー : AXL SE SC-A ×2台
- ウェブパネル: WP 4070-WXPS ×1台
※ステップ電源、DC/DCコンバータの信号出力はNFCで設定します。設定にはAndroidアプリまたは、専用ソフトQUINT POWER softwareと専用通信ケーブルTWN4 MIFARE NFC USB ADAPTERを使用しますが、ここでは省略します。
※WEBブラウザにはウェブパネルを使用しますが、PCのWEBブラウザでも同様に動作確認できます。WEBブラウザの設定はここでは省略します。
構成とI/O配線
手順
下記の手順で設定します。
- 新規プロジェクト作成(※)
- IPアドレスの設定(※)
- I/O設定
- プログラミング
- プログラムのタスク割り付け(※)
- HMI作成(WEB画面)
- プロジェクトのビルド・書き込み(※)
ここでは、上記の※以外の手順を記載します。※については、基本的な操作方法についての記事を参照してください。
I/O設定
PLANTエリアのAxioline Fをダブルクリックし、Device ListにAXL SE DI16/1、AXL SE AI4 I 4-20を登録します。(下図は、実際に使用したデモ機の構成のため、他のモジュールも登録されています。)
プログラミング
2つのプログラムを作成します。
- ステップ電源とDC/DCコンバータの4-20mA出力のスケーリング
- UPSの接点出力組み合わせによるステータス判別
1. ステップ電源とDC/DCコンバータの4-20mA出力のスケーリング
ステップ電源とDC/DCコンバータは、出力電力0-120W を4-20mAで信号出力します。また、アナログ入力モジュールAXL SE AI4 I 4-20は、4-20mAを0000-3E80Hex(0-16000dec)のデータに変換します。WEBブラウザの表示では出力電力を0-120Wで表示するため、下記のようにスケーリングするプログラムを作成しました。
I/Oに割り付ける、またはHMI画面で使用するため、使用する変数はUsageをExternalにしています。AXL SE AI4 I 4-20のプロセスデータ“IN01”にステップ電源、“IN02”にDC/DCコンバータの変数を割り付けます。
2. UPSの接点出力の組み合わせによるステータス判別
UPSのステータスは、出力接点3.3、3.4、3.5の出力の組み合わせによって、下表のようになります。
ステータス | 3.3 | 3.4 | 3.5 |
---|---|---|---|
停止状態 | OFF | OFF | OFF |
主電源モード(充電完了) | ON | OFF | ON |
主電源モード(充電中) | ON | OFF | OFF |
バッテリーモード | ON | ON | OFF |
今回は、表にない組み合わせについては、3.3がONの場合は“バッテリーモード”、その他の場合は“ERROR”として表示することにしました。プログラムの一部を下図に抜粋します。
ここでも、I/Oに割り付ける、またはHMI画面で使用するため、プログラムで使用する変数はUsageをExternalにしています。AXL SE DI16/1のプロセスデータ“IN01”に出力3.3、“IN02”に出力3.4、“IN03”に出力3.5を割り付けます。
プログラムの作成は以上です。プログラムをタスクに割り付けたら、プロジェクトをダウンロードしてプログラムの動作確認を済ませておきます。
HMI作成(WEB画面作成)
作成したプログラムの計算結果を表示させるHMI画面を作っていきます。手順は以下の通りです。
- HMI tag作成
- HMI画面作成
- WEBブラウザでの動作確認
1. HMI tag作成
まず、HMIで使用する変数のHMI tagを作成します。PLANTエリアの”axc-f-XXX”をダブルクリックし、Data Listを表示させます。該当する変数上で右クリックし、「ADD HMI tag」を選択します。下図のようにHMI tagが追加されるので、使用するすべての変数に対してHMI tagを作成します。
2. HMI画面作成
HMI tagを作成したら、HMI画面を作っていきます。今回は、下図のような画面を作りました。UPSの5つの動作モードは、プログラムで判別されたモードだけを表示させます。ステップ電源、DC/DCコンバータの出力電力は、水平方向のバーグラフで、0-120Wで表示させます。ここでは、変数の値によって動作モードを表示する方法と、バーグラフを表示する方法だけをご紹介します。
それぞれの動作モードは、RectangleとTextオブジェクトをグループ化しています。
下図のように、”停止”のオブジェクト選択し、Dynamicsを表示させます。“New dynamic”を押すと、オブジェクトの動作を設定できます。ここでは、“Visibility”を選択し、変数にHMI tagの“UPS_Stop”を設定しています。これにより、UPS_StopがTrueのときだけ“停止”のオブジェクトが表示されます。その他の動作モードも同様に適切な変数を使って設定しています。
出力電力を表示するバーグラフは、Bar Graph Horizontalというシンボルを使用しています。
下図のように、グラフを選択して設定ボタンを押し、“Parameters”タブに電力値の変数を設定します。グラフの設定は“Settings”タブでできます。今回は、Bar.Dynamic.Scaleのレンジを0-120、Scale1.Properties.Scale.rangeを0-120、Major tick intervalを10に設定しました。他にもフォントサイズや単位も設定していますがここでは省略します。
3. WEBブラウザでの動作確認
HMI画面を作成したら、もう一度プロジェクトをダウンロードし、WEBブラウザで動作確認します。WEBブラウザからF2152のIPアドレスにアクセスすると、下記のように表示されます。